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最も愛おしいもの [仏法]

『相応部経典』の中に、こんなお話しがある。

お釈迦様が成道なされた年、インド2大強国の一つであるコーサラ国の王に即位なされたプラセーナジット王は、ある日、宮殿の高楼で第一王妃であるマッリカー夫人とこんな会話をなされた。

「マッリカーよ、 この世にそなた自身よりも愛しいと思えるものはあるか?」 
「王さま、 わたくしはこの世で自分よりも愛しいと思えるもなどないと考えております。
王さまにはご自身よりも愛おしいものがおありですか?」
「マッリカーよ、 わたしも自分よりも更に愛しいものなど存在しない」

二人とも同じ考えではあったが、それで良いのかどうか… 不安であった為、祇園精舎におられるお釈迦様を訪ねて、その心を打ち明けられた。
お釈迦様は、「この世に自分より愛しいものはない」という二人の考えを聞いた後、このように説かれた。

「人の思いは果てしなく、縦横無尽に転がり続ける。
しかし、どちらの方向に行こうとも、常に自分が一番愛おしいという思いだけは変わらない。
心のどこを探してみても、己よりも更に愛おしいものなど見つけることは出来ない。
だから相手も同様に、みなそれぞれ自分が最も愛おしいと思っているのだから、自己を愛するものは、他のものも害してはならないのです」
と。

この教えに、屁理屈をつけようと思えば、なんぼでも付けることが出来るだろう。
でも、ここ一つ、「私が最も愛おしい」の心こそ私の自性なんだという事実だけは、変えがたい真実の教えであると実感する。

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