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2009夏 一人旅・回想録 20 ( 八戸駅 → 下北駅 ) [Travel]

家出四日目。 今朝も4時半に目が覚めてしまう。 
毎日睡眠時間は短いものの、途中で目覚めることもなく、薬がなくてもグッスリと眠ることが出来ている。

今日…、 いよいよ今回の旅の目的地である恐山へと向かう。
なぜ恐山なのか・・・、  自分でもわからない・・・・・。 
ただ、みんなが心配してくれているようなことは考えていない。 
だって私は、“生”からも“死”からも見放され拒絶されて、何にもわからないままにただ流されているだけ・・・
自分の居場所がどこにも見つけられなくて…、 自分が存在している意味もわからない…、 ましてや自分がどうしたいのかさえもわからないまま、こんな所まで来てしまった…。

だけど、たった一つだけ変わったことがある。 それは、「帰ろう」という気持ちが湧いてきたこと。
今朝いただいた一通のMailに、私は、私の居場所を見つけた。

HOTELで朝食を済ませて、やはりいつものように少し早めに宿を発ち駅へと向かう。
天気は快晴で、早朝から肌を突き刺すような夏の日差しが痛い。
今日も鈍行列車でのんびりと目的地まで向かうが、青春18きっぷは利用せずに乗車券を購入しホームへ。
通勤ラッシュの時間帯を過ぎているからかな? 八戸駅の朝は思ったよりも静かだ。乗車予定の列車は八戸駅始発であるため出発の30分も前から乗車できたので、私はいつものように車内で新聞を広げて一通り目を通す。

今、気持ちがとても穏やかな感じ…。 
よくよく考えてみたら、私はいつも自分で自分を追い込みながら崖っぷちを息を切らして走っていたような気がする。 でも、そ~ゆ~の、嫌いじゃないんだよね…。
ギリギリの所で頑張っている自分っていうのを、自分で演出して、自分で絶賛して…、単なる一人遊びだね…。
だけど時折、自然の中に溶け込んだ時にだけ、そんな危なっかしい一人遊びを忘れて、身も心も為るがままに委ねたくなることがある。
そんな感覚とは違うけど、今は、初春に鶯の第一声を聞いた時のような穏やかさが心に澄み渡る。
ずっと、ずっと、こんな気持ちが続いてくれたらいいのに・・・・・
そう思った瞬間に、心の中には春一番が吹き荒れる…。 続くわけがないじゃん!私の心の春夏秋冬は、常に秒速の変化をし続ける・・・・・

そんな時、「今日の私も仏法チャンネルにセットされているんだろうか…」とフッと思い自分の頭の中を覗いてみたが、何処をどう探しても仏法のブの字も見つからない…。 自分一色だ。
でも、フッとした一瞬にヤツはやって来て、私の頭をかき乱すからな~ぁ・・・
「あっ!!」 ハッとした…
と言うことはつまり、私の中から御法が出てくる訳ではないのだ…。
そ~か、そ~か、私には 「仏」も 「法」も ないんだ!  そ~なんだ、そ~なんだ!
でも、何でそれが嬉しいのだろう? はて…? 私は何が嬉しいのだろう…?

八戸駅から野辺地駅までは、のどかな農村地帯の風景が続く。
野辺地駅で途中下車をして大湊線に乗り換え下北駅へと向かう列車は、陸奥湾の東側を南から北に向かって一直線に上がって行き、ちょうど下北半島を斧の形として捉えた場合、柄の内側部分にあたる海岸線近くを走行する景観のよい路線である。

大湊線野辺地駅を出てしばらくすると陸奥湾越しに、うっすらとではあるが釜臥山のシルエットが浮んで見える。
あの山の向こう側に、私の目指す地があるんだと思うと、少し背筋の伸びる思いがした。

車窓からの風景は、暴風雪林の雑木林と、その木々の間から時折覗く青い海。
快晴の夏日の海風は、私が知っている不快なものとは違って、北の地ならではの清々しいものである。
なんだか、本当に知らない土地に来たんだ~ という感慨が深まって来て、私は家出四日目にしてようやく旅行者になった気がした。

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