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『風』高見 順 [詩]

大型の台風12号が接近しつつあり、いつもよりも強い風が吹いております。
私は、風の音が好きです。 もちろん、自然の脅威は恐ろしいですが、私は風の音が好きです。

昭和の初期に活躍された 高見 順 さんという小説家であり詩人である彼は、波乱万丈の人生を過ごされ、作品にも物質だけでない精神的な苦しさこそ人としての苦しみなのだということが書かれてあります。
私は、彼の「生」を身体いっぱいに感じさせる人間臭さと、それに相反しているような心の線を縫うような繊細さの描かれた作品が好きです。

窓の外の台風風を見ながら、フッと高見さんの詩を思い出しました。

                      高見 順

          風がごうごうとうなっている
          ごうごうのこの音は
          風の音か 木が風に鳴る音か
          君は分からぬというが
          僕は風の苦しみの声だとよく分かる
          風は実に苦しんでいる
          有るということの苦しさは
          生きるということと同じように苦しいのだ
          君 今この寂しい夜に目覚めている灯よ
          君も今にそれを知るのだ

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