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スリランカ ― クルネーガラ (宗教と暦) [アジア]

ネゴンボから、幹線道路ではない小さな町から町へと結ぶ道を車は走る。
時折、インドを思い出させるような小さな町の風景に懐かしさを感じ、また、のどかな田園風景は、椰子の木さえなければ日本とさほど変わりなくも見えるが、野生動物や野鳥の数は桁違いに多い。
途中、ナーラン村を通った時には、道路を横切るマングースやヘビ、道端でくつろぐサルやイグアナ、田に集うサギやコウノトリなどを車窓よりWatching!

9:20 ネゴンボから北東に約80km、車で2時間弱の距離に位置するクルネーガラという町に到着。
クルネーガラはスリランカ北西部州の州都で、国内では6番目に大きな町。 かつてシンハラ王朝の首都でもあったそうだ。
クルネーガラ町には主要な幹線道路が交差し、古い建物と新しい建物が入り混じった中を多くの人々や車が行き交う。
クルネーガラに来てまず目を引くのは、町の建物越しに高く聳え立った岩山だ。
これはクルネーガラ・ロックと言い、この象の胴体にも似た岩山がある町ゆえに、クルネーガラの町はエレファント・ロック・シティとも言われているのだそうだ。
この岩山の頂上には巨大なブッダの座像が鎮座し、朝日を浴びて白く輝いていた。
「どうしてあんな所に仏像を?」と聞くと、「仏教の国ですから!」とクリスチャンのディディーさん。

[メモ] スリランカでは宗教の自由が認められている。
国の多数民族であるシンハラ人の多くは上座(小乗)仏教を信仰しているが、ディディーさんのようにキリスト教を信仰している人もいる。
宗教的な壁は低く、例えばディディーさんの父親は仏教徒で、母親はキリスト教徒。 インドのように、宗教が結婚の障害になるということは少ないようだ。
そしてスリランカでは宗教についての知識を、英語と同様に幼稚園の時から教育される。
毎週日曜日は「宗教の日」であり、子供たちはそれぞれに信仰する寺院や教会の日曜学校に通ってより深い知識を身につけるのだそうだ。
この時にディディーさんは母親の意向でキリスト教の学校に通っていたため現在もキリスト教徒という訳。

ここでスリランカの休日について触れておこう。
スリランカでは通常の土・日休みの他に祝祭日が実に多くて、特に特記すべきは満月の日で、毎月一度は訪れるその満月の日をフルムーン・ポヤ・デーと言い、この日は祝日となっている。
これは、お釈迦さまがお生まれになった日、そして仏の悟りを開かれた日、またご入滅された日がすべて満月だったという伝承にちなんでおり、フルムーン・ポヤ・デー(満月の日)は仕事を休み、お酒や肉・魚も断って、瞑想したり功徳を積む日とされているのだそうだ!

中でも一番重視されているのは5月のポヤ・デー(満月の日)で、この日はウェサック・ウッサワヤと言ってお釈迦さまの誕生・成道・涅槃をお祝いするために、寺院では仏教的儀式が執り行われ、町では提灯やオイルランプなどでカラフルに電飾をしてこの日を祝う。 
露店なども立ち並んでとても賑やかなお祭りになるのだとか!
二番目に重要とされているのは6月のポヤ・デーで、この日はポソン・ウッサワヤと言われ、スリランカへの仏教の伝来を記念する日なのだそうだ。
そして何と言っても有名なのが、7月(エサラ・ポヤ・デー)から8月(ニキニ・ポヤ・デー)にかけての10日間に渡って催されるキャンディ・エサラ・ペラヘラだろう。 (これについての詳細は、キャンディー・仏歯寺の項目で!)

面白いのが、宗教の休日が国民の休日となっている点だ。
フルムーン・ポヤ・デー(満月の日)は仏教の祝祭日でありながら、キリスト教徒や回教徒もこれに準じて休日となり、また逆に、キリスト教のクリスマスやイースター、ヒンドゥー教の神様の誕生日、イスラム教の各種祭日も国民の休日となっているので、仏教徒であっても仕事・学校ともにお休みとなる。 何とも羨ましい話しである!

暦のお話しついでにもう一つ、スリランカの新年について。
スリランカでは1月1日を New year day としているものの、特にお祝いはしない。
いわゆる‘お正月’と言われる行事は4月で、新年の日にちは、4月の13日~14日間に行う占星術で選ばれた時刻が‘新年’となる。
もともとは、シンハラ民族とタミル民族に共通する収穫感謝祭が起源となっているが、この日は宗教的儀式を行い、特別なお料理を食べ、新調した服を着てお正月のあいさつ回りに出かける。
ただし、お正月の時刻が占星術で決定するまでの数時間は、家事を含めて一切の仕事を断ち、飲食も断ち、その‘時’を待つ。
そして新年の時刻が始まったところで人々は爆竹を鳴らして喜び合い、台所に火を入れてミルク粥をいただくのだそうだ。

さてさて、話しをクルネーガラの町に戻そう!
クルネーガラではDriverのラビーさんの友達がやっている両替商で円からスリランカ・ルピーに両替をしてもらった。 5,000円 で 6,500LKR 。
ラビーさんが両替をしてくれている間、私は夫とディディーさんを車に残して一人クルネーガラの町をぶらぶらと歩き出した。 
人々の視線がこちらに集中してちょっと痛かったのでこちらから声をかけてみると、みんな気さくに応じてくれて、かと言ってそれ以上突っ込んでも来ないので心地よかった。
その心地良さについつい歩き過ぎてしまい、車に戻った時には、「あまり遠くへは行かないでくださいね」と、ディディーさんに心配をかけてしまったようだ。
でも、やっぱり知らない町のぶらり歩きはとっても楽しい~(*^-^*)

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