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2009夏 一人旅・回想録 18 ( 久慈駅 → 八戸駅 ) [Travel]

北リアス線 下りの終着駅 久慈に着いた。
久慈駅は、想像していたよりも広さはあったが、利用客は閑散としていて…、 天候や時刻の影響だろうか…、それとも私の心の問題なのだろうか…、少し暗い感じのする駅であった。
今日6回目の乗り継ぎとなる久慈駅でJR線に再び乗り換え、今日の最終目的地である八戸へと向かう。
時刻は17時少し前。 久慈駅から八戸駅までは二時間弱の列車旅となる。
列車内は学生が大半で、でもそんなに多くはないので余裕で座ることができた。

ここ東北の学生諸君はとても元気だ! どの列車で出遭っても、本当に楽しそうに賑わっている。
ただ、周囲の迷惑は一切考えていないので、正直、眉間にシワの因ることも多々あるが…、 自分もそうやって大人になってきたのだろうな~ぁ…、 そして今も、周りの迷惑を顧みずに生きているのだろうな~ぁ…、 なんて、ババクサイ感傷に浸る…
しかし…、これだけ一日中移動をし続けているのに、まだ岩手県を脱出することが出来ずにいるというのは、気持ち的に少し疲れる…。 東北の一県は、ホントにデカイな~ぁ。

JR八戸線の列車にはエアコンが付いていない。 座席近くにあるボタンを押すことで、天井に取り付けられたクラシカルな扇風機が回り始めるが、私は外の空気を求めて列車の窓を押し開けた。
こちらに来てから窓を開けることのできる列車と出合って小さく感動している私・・・
遠慮気に僅かに開けた車窓のその隙間から吹き込む風は、夏のものとは思えないほどひんやりとしていたが、その冷たさが今の私には心地よかった。

八戸線の列車の速度はすごくのんびりとしている。 それに各駅での停車時間もやたらに長い。
慌てず、急がず、のんびりと旅をしようよ!と思っていた私にはピッタリのはずなのに、なんだかこの暢気さにひどく苛立っている私がいた・・・ 
このイライラの原因は何なのだろうと考え時、目の前に迫った夜闇…? ではないかと思った。
私が、晴れの天気がいい、昼間のままがいいといくら願ったとしても、刻々と夜は迫り来て… その時は必ず訪れる…
これは誰にも止められない・・・・・  そして、私はその夜闇に恐れを抱いているのかも・・・・・
しかし、その畏怖する心を見たくないから…、 この苛立ちを抑えたいから…、 私は自らの空想の世界で夜闇にネオンを着飾らせて、きれい きれいと 自分を安心させるのかもしれない・・・・・。

フッと思った・・・・・  “死”って何なんだろう…  “私が死ぬ”ってど~ゆ~ことなんだろう…
ただ漠然と、世間レベルの“死”しか私には考えられない…
しかも、それは決して“自分の死”にはなっていないのだろう…
だって、いくら思案しても、真実の“死”なんて見えて来ない。 それどころか、これに目を背けている私というヤツが見えてくるだけ…
そのくせそいつは私の頭の片隅に居座ってどうしたって離れてくれない。
だから私はそいつを自分のお気に入りの花々で覆い隠すしかなくて・・・・・。
その花畑には、「私が死ねば、私は苦しみから解放され、みな幸せになれる…」と書かれたプラカードを掲げてあるんだ・・・・・・

列車は山中を通り抜け、陸中中野駅の手前辺りから海の風景へと変わった。
暴風雪林の隙間から覗く青い海と、淡い潮の香りが、優しく心を癒してくれる…。
この時間、日本海側の列車旅なら美しい夕日が見られただろうな~ぁ と、少し残念に思う気持ちもあったが、遠くに浮ぶ船が西日を浴びてキラキラと輝いている風景に、心弾むものがあった。
あれ? 潮の香りに混じって、にんにくの香りがする…  あっ、青森にんにく? やっと岩手県から脱出だ!

お天気は回復傾向!  これにつられて私の気持ちも回復傾向!
空の青さと、海の青さは全然違う。 そして西に輝く太陽と、それに照らされた光も全然違う。
だけど、青は青で、光は光なんだ…  ただ、それだけのことがなんだかとても嬉しく思えた。
そして、開けられた窓から外に出していた手が、いつの間にか 冷たく 硬く かじかんでいることに気が付いた。 

八戸線の車窓からの風景はとても快適。 久慈駅を出てから1時間半、列車は次第に北から西へと向きを変えて走る中、鮫駅からは車両の前方に太陽が見えた。 
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後は言葉にならない・・・・・
列車内は通勤・通学の乗客らで賑わっていたけど、私の心は西に輝く夕日の美しさに奪われていた。
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