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二匹のトラと二人の私 [心]

夢を見た・・・・・  何匹もの大きなトラに追われる夢。

何故そうなったのかは覚えていない…
ただ、トラたち追っ手から逃れる為に、私たち十数人の仲間は、行き先の無い、ただ逃げるという目的の旅に出た。
いつ、トラたちが襲ってくるかわからない…
どこで見つかってしまうかわからない…   極度の緊張感の連続…
見つかればたちどころに捕らえられ、食い殺されてしまう。

見知らぬ土地を、一時の油断もなく、周囲の様子を慎重に窺いながら旅を続ける私たち。
もう、半数近くの仲間がトラによって命を奪われてしまった…
私たちは、時には仲間を助けることもあったが…、 時には仲間を見殺しにしながら、それでも自分の命を守る為に旅を続けた。
仲間に頼りたい…、 頼りたいのに、でも… 結局自分しか信用のできない私…

白い砂煙の立ち上る乾いた村にさしかかった時、その村の人々が私たちを遠目に見ながらヒソヒソ話しをしているのが気になったが、私たち仲間は、その村にある一軒の干草の納屋の中に身を隠すことになった。
その納屋の入り口はとても小さくて、人一人がやっとの思いで通り抜けれるかどうかといったおおきさであった。
そして一人目の男性がその納屋の入り口の穴に身を突っ込んで、上半身だけを何とか潜り込ませたところで、「どうして入れないんだ! 通り抜けできないぞ! これじゃ~戻ることも出来ない!!」 と、大声でもがいていた時、フッと後方に視線を感じた私が村の広場の方を振り返って見ると、その目に、冷たい視線を向ける幾人かの村人の姿と、二匹の大きなトラの鋭い視線が飛び込んできた。
仲間は大声で叫びながら四方八方に散らばって逃げ惑う!  
あぁ、また一人仲間が犠牲になった…  あぁ、あちらでもまた一人やられてしまった…
そして私は・・・・・・
   
その夢の中には、二人の私がいた。
一人の私は、一番初めに干草の納屋に潜り込もうとして、でも潜り込めずに今も必死でもがいている男性その人が私自身であり、自分の背後で如何なる惨事が起こっているのかは全くわからずとも、迫り来る恐怖をヒシヒシと肌で感じ、その恐ろしさに胸が押し潰されそうになっている…、
誰よりも早く安全な場所に逃げ込みたい、死にたくない、助けてくれと必死で泣き叫んでいるその人自身が私であると感じた。
そしてもう一人の私は、その男の傍らに立って、振り返ったその面前で繰り広げられる人々の裏切りや、仲間の死という無残な光景を目にしながらも、ただただ傍観しつつ、「自分だけは大丈夫」とタカをくくっているその人も、私自身に違いないと感じた。

その二人の私が、いよいよトラの視線と絡み合ったその瞬間、私はその恐怖で気を失いかけた。
その時、「すべて夢ですよ」 というやさしい言葉が届いた。

その声に、トラも、納屋も、その光景のすべてが一切消え去って、私は一通の手紙を読んでいた。
お会いしたことも、お聞きしたことも無いし、そのお名前すら知らないが、その手紙は、MRさんのお母様からのものであった。

「起きている時(人として生きている間)は、欲にまみれ、それ故に苦しみ、後悔することばかりの私です。
でもそれは、眠っている(人として生きている)からこそ見ていられる夢を、今、見続けているだけなのです。
でも、いつかは目覚め、その夢も終わるでしょう・・・・・・・・」

手紙にはまだまだ続きの言葉が綴られていたが、それを読む前に、窓から差し込んだ朝日によって、私は夢から目覚めてしまった…
「起きている時も、眠っている時も、夢?・・・・・  今はまだ、私は夢の途中?・・・・・
どうしてトラ?  なぜ、MRさんのお母様?  手紙の続きにはいったい何が・・・・・」 
そんな疑問を布団の中で問うたとて、答えなど何も出て来やしないことはわかっている…

いつも見ている夢とは違うなぁと感じたので、ここに、覚えている限りを記録しておこう[パスワード]










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