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西光寺・報恩講  その④ [法座・座談]

3428603二日目の夜の法座はお内佛の法要で、お勤めの後は、G先生を中心に半円状に座したスタイルで御法話をいただいた。
この時も自分で座布団を並べながら事前にG先生の真正面の位置を誰よりも先にキープしていたのだが、実際に御法座が始まって会場に戻ってみると特等席の権利を有した橋本さんが、私の真正面でG先生のまん前に座られた為に、残念ながら一番前の席とはいかなかった。
そして他の人たちはと言えば、左右にほぼ均等に座しておられる。
何が均等なのかといえば、お昼の法座でG先生がおっしゃった、「自分は‘善人’と思っているのか、‘悪人’だと思っているかという各々の意見に分かれて、G先生を中心に左の部屋が「善人の部屋(座)」で、右の部屋が「悪人の部屋(座)」というように分かれて座ることになったからだ。
ちなみに私は、体の三分の二を悪人の間に置き、残り三分の一を善人の間に置いて座った。
そして橋本さんは、お昼の法座でG先生の質問に、⑤番目の「自分は善人とも悪人ともわからない」に挙手されたそうで、2つの部屋をまたいだ中央、つまりG先生の真正面に座られることになったという訳。

ところが・・・、 お勤めの後のG先生の御法話は、「無常について」と、「念仏のみぞ真」という尊いお話しはいただいものの、「善人・悪人」のお話しは一切出されなかった。
そして前半の御法話が終わり小休憩を挟んだ後半の質疑応答の場になって、門徒の一人の女性がそのことをG先生に問われ、そして彼女の夫が書いたであろう「善人か悪人かについての意見書」なるものを朗読し始めた。
私は、彼女の(夫の)言われていることは、まったく因果の道理を無視した意見だなぁ~ と聞いていたが、G先生はこれについては否定も肯定もなさらず、「今夜、わたしが話したことをそのままご主人に伝えてあげてください」と言うにとどまった。

そして次に質問をされたのが私の前、そしてG先生の前に座した橋本さんであった。
「自分は今まで善人だと思っていたが、二年前より仏法聴聞を初めてみると悪人の自分が見えてきた。
これではイカンと思い悪人の自分を抑える努力をしてみたら今度はストレスがたまってしょうがない。
これをどうしたらいいでしょうか? どうしたらストレスをためずに生きていかれるでしょう?
そのストレスの解消を求めて仏法聴聞を始めたのだが二年経ってもまだ阿弥陀さんはこれを解消してくだされない…。
どうかわたしにわかるように、端的に、阿弥陀さんの本願を理解してストレスを解消することが出来る一番の近道を説明して下さい!」
と、このような質問であった。 
これに対してもG先生は否定も肯定もなさらず、「説明するのは簡単ですがね…、 極難信です…。  昨日から今の今まで、一番の近道を、わたしはず~っとしゃべり詰めだったんですがねェ…」 と笑顔でお答えになった。
この後も橋本さんは続けてお話しになったが、これを聞いていて私は自分の過去の過ちを暴露されているような気恥ずかしさでいっぱいになった…。
「先生はわたしの中のドロドロとした心の中に阿弥陀さんがいてくださるといわれるが、その中からスプリングを使って、ポンッと阿弥陀さんが飛び出し来てくださるきっかけはどんなものなんでしょうか?」
「先生の言われることはちゃんとわかっているんですが、自分が思い違いをしているとはど~しても思えない!」
「何割の確率で本願がわかるのか? あと何年苦しんで、どれ位のレベルまで行けば本願がわかるのか?」
これらの質問をG先生は御法で丁寧にわかりやすく説いて返していかれるが、橋本さんにはまったく届かない。
そんなやり取りが20分近くも続いた末に黙ってしまわれた橋本さんに、G先生は少し語気を強めて会話を切ってしまわれた。 そして、「他の方で質問はございませんか?」と皆に尋ねられたが誰も皆、口をつぐんでしまったまま目をもそらされている。

そんな中で、ついうっかりと私の口が開いてしまった。 
なんだか言わずにはおれなくなっちゃって…、この二日間でG先生から聞かせていたことが、無意識の内に口からあふれ出して来るみたいな感じに、この私がど~ゆ~わけか片言ながらもしゃべり続けていている…。

そしてとうとう橋本さんの口からお念仏が飛び出すに至った時には、G先生もお念仏を称え初め、これにつられて小さなお念仏があちらこちらからも聞え始めて、会場はいつもの気慣れた座談会のような雰囲気になった。
そのお念仏が少し落ち着いて来た時、G先生が『二河白道』のお話しを始められた。
時折首をかしげる橋本さんに私が後ろから声をかけると、橋本さんはうつむきながらもコクリと頷きながら一生懸命に聞いておられた。
そしてG先生のお話しも後半になってくると再び会場のあちこちからお念仏が湧き立ち、会場はしばらくの間またお念仏に包まれた。
私は、ここに居る一人一人が自身の阿弥陀さまと出会われているんだ! 不思議だな~ と感じていると、G先生が、「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、不思議なことやな~」と口にされ、少し驚いてしまった。

この時橋本さんがクルリと私の方を振り向かれ、「なっちゃん、ありがとう」と言われので、「いえ、私は…、阿弥陀さんが…」と小さく口ごもると、G先生が橋本さんに、「阿弥陀さんに御礼をしましょう」と橋本さんを促され、橋本さんはお仏壇の前まで歩まれお念仏をされた。
この時G先生が私の方を見て、「よかったなぁ」と言って下さったことで、嬉しい気持ちのその反面で、ものすごい気恥ずかしさかこみ上げてきた。

御法座の予定終了時刻は当に過ぎていたが、しばらくは皆、今まで以上に大きな声でお念仏をいただいた。

そしてこの御座が終わった後にG円さんから、私が橋本さんの背中に向かって話しかけているその言葉に、G先生が一々大きく頷いておられる姿がとても尊かったとお話しくださって、恥ずかしかったけれど、でも嬉しいと思った。

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