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スリランカ ― ダンブッラ ( 石窟寺院 ① ) [アジア]

ダンブッラ石窟寺院の入場門前で、まずは靴を脱いで裸足になる。
これは、神仏の聖域に土足で踏み込んではならないというスリランカでの最低限のマナーだ。
ついでに言えば帽子を脱ぐのもマナーだし、特記すべきは、仏跡地で写真撮影をする場合、仏像やその建物を写真に撮るのは問題ないが、人物の背景としてそれらをカメラに収めてはならないという決まりがある。 つまり、仏像などの前に立った人物を写してはいけないということなので要注意を!

ダンブッラ石窟寺院(Golden Temple of Dambulla)は、ユネスコの世界遺産にも登録(1991年)されている寺院で、スリランカ初期仏教時代(紀元前1世紀)に、ダンブッラ・ロックの山頂付近にあった天然の洞窟に築かれた石窟寺院である。

ダンブッラ石窟寺院

その歴史は紀元前3世紀にまで遡る。 既にこの頃から大規模な僧院として存在・機能していたが、紀元前1世紀、シンハラ朝第19代国王 ヴァッタガーマニ・アブァヤ王が、タミル人の侵略によってアヌラーダプラから追放され、この時にダンブッラで保護され、その15年後にタミル軍を巻き返して再びアヌラーダプラに帰還できたことに感謝の思いを込めてこの僧院を寺院へと転換したことに始まる。
その後、歴史と共に寺院の増築が繰り返され、現在では主要な5つを石窟寺院の他に、この近辺には80を超える石窟寺院が存在しているのだそうだ。

ダンブッラ石窟寺院の中核となる5つの石窟寺院は、ダンブッラ・ロックの150m地点に建設された寺院で、内部には壁画が描かれ、いくつもの像が安置されている。
その石像の数は、153体のお釈迦さまの像の他に、スリランカ王の像やヒンドゥー教の神の像などもあり、また、壁から天上一面に描かれたお釈迦さまを主とした壁画も壮大である。

さて、入口で先ほど購入した入場チケットのレシートを見せてGateをくぐる。
そして階段を降りると、その右手にある石版にはシハラ語でこの石窟寺院の歴史が刻まれており、その横から奥へと、第一窟、ヒンズー教窟、第二窟、第三窟、第四窟、第五窟 の順で、巨岩に沿って寺院が並んでいる。

第一窟、第二窟と、第四窟は、紀元前1世紀からアヌラーダプラ王朝時代のものといわれ、以後2,000年もの間、時の王によって管理・保護されてきた。
そして第三窟は、18世紀キャンディ王朝時代に、第五窟は1915年に造られたものだそうだ。

< 第 1 窟 >  Deva raja Lena (デーヴァ・ラージャ・レーナ)

ダンブッラ石窟寺院 第一窟

第1窟は、「神なる王の石窟」と呼ばれ、中には壁面の岩と同じ天然石で彫り出された、全長14mほどのお釈迦さまの涅槃像が、狭い空間 いっぱい いっぱいに安置されている。

ここで一つ、インドで学んだ豆知識!
横臥されたお釈迦さま像には二種類あって、その違いは、お釈迦さまの足先を見ると明白だ。
両足のつま先が少しずれているもののみが、御入滅なされたお釈迦さまを現わした「涅槃像」と言われるもので、両足にズレのないものは、涅槃に入られる前のお姿だとされている。
第1窟のお釈迦さまは、左足の方が右の足先よりも僅かに下がって横臥されているので涅槃像。

そしてこのお釈迦さま、今ではほとんどハゲてしまっているのでわかりにくいが、本来は全身に金箔が施されており、これに対して足の裏は金ではなく赤く塗られているのがわかる。
仏さまの足の裏と手の平が赤く塗られているというのがスリランカの仏像の特徴で、その由来には諸説あるのだが…、
お釈迦さまが涅槃に入られたと聞いたシンハラ王朝(紀元前5世紀)のウィジャヤ王がインドに赴いた後に帰国なされた際、王の足の裏に赤土が付着していたからとも、王の手の平が赤かったからとも伝えられているが…、なんだか気の抜けちゃうような理由でちょっとガッカリした…
ちなみに、足の裏に描かれている文様は、蓮の花なのだそうだ。

さて、ここ第1窟は、二番目に古い石窟だと言われており、大きな涅槃像の他にも五体の石像があり、その一つ、涅槃像の足元に立っする像は、お釈迦さまのお弟子のアーナンダ尊者の像と言われており、また涅槃像頭部の片隅にはヒンドゥー教のヴィシュヌ神の像がある。
なぜ仏教とヒンドゥー教がセットになってしまったのかというと、王は仏教徒であったものの、その妃の中には南インドから嫁入りをしたヒンドゥー教徒の奥方がたくさんおられた為で、王がお釈迦さまに手を合わせるその傍らで、妻たちはヴィシュヌ神に手を合わせていたのだそうだ。

石窟内の壁面には赤を基調にした絵の具でBuddhaの壁画が全面に描かれているが、何度も修復作業が重ねられ、しかも別の絵で上塗りをされた形跡もあって、2,100年前にどんな絵が描かれていたかのか、今となってはわからないのだそうだ…。

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