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2009夏 一人旅・回想録 31 ( 四日目の終りに… ) [Travel]

すっかり日も落ち、小さな下風呂の温泉町は夜のとばりに包まれ外灯が心細そうに揺れている。
宿に戻ると女将さんが再び笑顔で出迎えてくれ、私の赤い目を見たからかな? 「とにかくお風呂にゆっくりと浸かって来て、それから食事にしましょうね!」と優しく促してくれた。
とても小さな温泉町の、小さな温泉旅館で、宿のお風呂も小じんまりとしたものだったけど、何だか心身ともに癒されていくようだった。

お風呂から上がって部屋に戻り窓から夜の港を見ていたら、一人でいることがとても寂しく感じられた。
でも、運ばれてきた夕食を目の前にすると、そんな憂鬱な気分も吹っ飛んで、も~ぉ、食らうことしか頭にない! 
3172221オーダーした生ビールを片手に一人で乾杯! 昼食抜きの空きっ腹に冷たいビールが染み渡る。
しかし、殺生三昧に歓喜しながらも、何故か食があまり進まない…。 
疲れているのかな? 好きなものから頑張って食べて半分ほど制覇したところで限界がきた。 「お魚さん、板さん、ごめんなさいm(__)m」

夕食後、もう一度温泉に入ってから、その後はいつものようにパソコンを立ち上げるが、やはりNETはつながらないので、過去のMailなどを読み返しながら、いろんなことを今の自分に問うてみた…。
でも、確かなものは何も出てこなかった…。  出てきたものは、私の思い…  私が作った妄想のみ…
そして、ここ数日間の自分を振り返ってみただけでも、自分というものがいかに虚仮で不実で当てにならないいい加減なものであったかということが見えてくる…。 
それと同時に、そんな自分に満足している私と、そんな自分を嫌悪している私が、共倒れになりそうなところで上手くバランスを取り合っているように思えた。

“生きる”って何なんだろう…、 “死ぬ”ってどういうことなんだろう、 って考え時、結局、 “私”って何? という疑問にたどり着く。
その答えは仏法の中にあると教えられて、何か不思議な力に導かれるままに今日まで来たけれど、初めて仏法と出遇った時のあの感動も、あの歓びも、既に化石のように硬く、冷たく、朽ちている。
御法によって教えられる“私”って、この世の常識とはあまりにもかけ離れているし、認め難いものばかりで、こんなものを教えられて私にとっては迷惑でしかない…、 とても仏さまに手を合わせる気にはなれない…。

この1年…、 私の中で様々な変化があったにもかかわらず、私の心は何も変わっていないように思う。
その心、自分の思いこそが捨てモノなのだと聞かされても、これを捨てたら私じゃなくなっちゃう…。
私が大好きな“私”も、私が大嫌いな“私”も、全部 全部 “私” だもん! 好きでも、嫌いでも、私は “私” が一番大事! 一番 一番 大切なの!
「その“我執”によって無始より迷いに迷ってきた」と聞かされても、「それがどうした?!」としか思わない…
「そんな私を愛して、心配して、必ず救ってやると誓っておられる方がいる」と聞かされても、私の中からは、愚痴や疑いしか出てこない…

バッグから手紙を取り出して読み返す…  胸が… 締め付けられるように苦しい…
最後まで読むことが出来ない…
手の中でグシャグシャに丸められてゆく手紙に涙がこぼれ落ちた・・・・・
でも…、 私は…、 これを捨てられない…
どんになに胸が苦しく、呼吸があおっても、 その手紙を投げ捨てることが出来なかった・・・・・
悔しかった…、 すごく、悔しかった・・・・・・

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