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2009夏 一人旅・回想録 28 ( 霊場恐山 7 ) [Travel]

おかげさま・・・、 おかげさま ・・・ ?   なんだか だんだん 虚しくなってきた ・・・・・
‘南無阿弥陀仏’が、私の「思い」という針で刺されて、風船のようにしぼんでゆく感じ ・・・・・・
お念仏は呪文じゃないよ!  称えて救われるんじゃない!
私がその足で踏みつけている如来様の願いで称えさせてもらってるんだよ…
その願いこそが「救わせてくれよ!」の‘南無阿弥陀仏’なんだよ…

どんなに自分の心を奮い立たせようとしても、無理!! 
しょせんは、「知識」 VS 「思い」 の バトルにしかならない・・・・・
「そんなこともわかってる!」と、自分の声にすら苛立ち、耳を塞ぐ私・・・・・
何やってんだ、私は …    「全然ダメ!・・・・・・」 と 声に出して呟いた。

ここでセコンドがタイムを告げた。  
背後から観光客のおばちゃんがやってきて、「どっこいしょ!」と言いながら私の隣りに腰をおろした。
私は慌てて涙を拭いて、そ知らぬ顔を装うが、おばちゃんにとっては、私が泣いていようが笑っていようがお構いなしで、「あ~、暑いね~! 今日はこんなにいい天気になると思わんかったわ~、ね~ぇ!」と話しかけてきた。
私は、「そうですね…」 とだけ答えて後は無言を保ったが、おばちゃんは一方的に恐山についての自分なりの感想をしゃべり始め、私は、「あぁ、また世間の常識論だ…」と、おばちゃんの話には耳を傾けず、適当に相づちをうちながらそれを聞き流した。
そしてやっと話しが途切れたと思ったら、おばちゃんに、「あんた何やっとったの?」といきなり質問を振られ、それがあまりにも不意打ちだったので、「別に何も・・・」と思わず口ごもってしまった。
おばちゃんは、「ふ~ん」と言いながら今度は自分の家族のことについて語り始めた。
またいきなり質問をされても答えに詰まるとおもったので、今度は私の方からアレコレと質問をしながら、しばらくの間はおばちゃんの話し相手に専念した。
そして後方よりおばちゃんを呼ぶ家族の声に促され、おばちゃんが、「はい、はい、今行くよ!」と言いながら去っていた時には、ド~ッと疲れが滲み出た。
そのおかげか少し空腹を感じたのでバッグの中より缶コーヒーと携帯食のクッキーを取り出して、また一人、宇曽利湖を静かに見つめながら軽く Lunch time とした。

「この世は全て虚仮不実 ・・・   
唯、真実は、唯除五逆のこの私(我)と、この口から飛び出る‘南無阿弥陀仏’のみ ・・・」
そう言いながら、何も響かん、何の感動もせん私…
「後生は目の前に迫っているぞえ!  お前の後生は大丈夫かえ?!」
そう問われても、何も驚かん、何もわからん私しかない…
私にあるのは、‘南無阿弥陀仏’を疑う心だけじゃん・・・・・
それがどんなに罪深いことだと聞かされても、全然消えないんだもん! も~ぉ、いいかげんにしてよ!!
と、また振り出しに戻って来てしまう・・・・・・  疲れた・・・・・・

恐山 宇曽利山湖
私は重い腰を上げて、再び宇曽利湖の波打ち際へと向かって歩き出し、その湖水をそっと片手で掬った…  冷たかった…
きっと阿弥陀さまはその両手で私を救いとってくださっているのに、私はこの水よりも冷たく仏さまの手を凍らせているんだろうな~ぁ…、 そしてすぐに自らの業でこぼれ堕ちて行くんだ・・・・・

再び順路に戻って霊場恐山の観光を形だけでも満喫する。
「私は、阿弥陀さまにこんな所まで連れて来てもらわなければ何も気付けなかった…、 それを身をもって教えていただく為に、この地へと導かれて来たんだ…」 という思いと、
「何なんだ! こんな所まで来て、また仏法、仏法と、馬鹿じゃないか私は!」 という思いと…
二つの思いが「我こそ真実!」と心の中で喧嘩する。

「も~、お前たち(私の思い)に振り回されるのはたくさんよ!!」 と 私は足早にコースを回った。

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